いま、居酒屋やBARに「山崎」がない……。日本のウイスキーの代表作であり、多くのファンがいる「山崎」。それが最近、「山崎12年」や「山崎18年」の年代物だけではなく、ノンエイジ(ノンヴィンテージ)までがスナックやガールズバーから姿を消しているという。その実態を調査、取材した。
取材当日、銀座のクラブが集まる一帯にある酒屋を訪ねると、山崎は全て売り切れていた。店員に話を聞くと、「2日前に3本入荷したが、一瞬で売り切れた」という。
「すぐにクラブの黒服の方が、年代物も含めて全部買っていかれますね。酒屋からお店への直接の仕入れだけでは足りないんでしょう。うちも昨日は入らず、今日の午後にやっと入荷できる具合です」
とある六本木のBARでも「山崎」の入荷が難しく、「お客さんの足が遠のく」とママは嘆いている。
「2、3か月前からほとんど『山崎』が入らなくなってしまいました。お客さんから『キープしてくれないと行かない』と文句を言われたり、実際にお客さんが減ってとても困っています。酒屋に注文しても『今は入荷できない』と断られますし。仕方がないから、ネットで高騰してる『山崎』を仕入れました」
都内の某酒屋の飲料店向けパンフレットには、ノーエイジの「山崎700ml」を4082円(税込)の卸値で販売していると記されている。しかし、新規のお店には「山崎」は卸していないそうだ。先述の六本木のママは楽天で通常価格の1.5倍以上、6588円で(税込)で購入したとか。その仕入れ値の差は経営に響くと嘆いていた。
そもそも何故「山崎」は品薄になっているのか。サントリーの広報に話を伺った。
「ウイスキー自体の需要が高まったことが大きな理由ですね。ハイボール人気が高まった’08年頃から需要が増加し、国際的な賞を頂いたことで海外からの買い付けも増え、’15年の朝ドラ『マッサン』でさらに求めて頂けるようになりました。しかしウイスキーの生産には樽で最低でも3年ほど熟成させる必要があり、時間がかかるのです。うちも『山崎』『白州』『響』を’14年から、前年の2割以上を目安に計画生産しているのですが、ありがたいことにそれ以上の需要を頂いているというのが現状です」
メーカー側も舌を巻くほど大ブームな「山崎」。一体どうすれば「山崎」を正規の価格で安定して入手することができるのだろうか?
「それに関しましては、うちからは何とも申し上げることができず……すみません。ぜひこれを機会に、当社の他銘柄のウイスキーもお楽しみ頂けましたら幸いでございます……」
このように価格が高騰していたり本数制限があったりすると、家飲みですら「山崎」を楽しむことはなかなか困難なようである。しかしどこに行っても「山崎」が飲めないわけではない。大衆系の居酒屋等では意外と「山崎」が飲める場合もある。
渋谷のチェーン居酒屋やカラオケ店では一杯800円ほどでメニューに存在した。しかし、飛び込みで入った恵比寿のスナックやBARでは「今は手に入らなくて」と入手困難を理由に扱ってない店もやはり多かった。
果たして『山崎』取扱い店に一定の法則はあるのか? 都内のキャバクラ愛好家で、「キャバでは『山崎』しか飲まない」という神田さん(仮名・35歳)に話を聞いた。
「キャバクラに限った話ですが、BOX席を10組近く作れる、大きめなお店には『山崎』の在庫があります。また、そこまでセット料金の安くないお店。女の子が常時5人以上いるようなお店だと、大抵ある。でも席数も女の子も少ないガールズバーだと、あまりない。今『山崎』は高いから、値段設定も難しいと聞いたことありますし」
この説に信憑性があるかどうか、記者の住む下北沢のキャバクラ界隈で確認してみた。ある大箱の店のキャッチは次のように語ってくれた。
「うちはショットではなくボトルで出すので、『山崎』は必ず入れています。日本のウイスキーの代表ですし、ボトルで『山崎』を入れるのはお客様にとってもスタンダードであり、ステータスでもありますから」
一方で、「山崎」を置いていない、小規模のガールズバーの店長はこう述べた。
「うちは仕入れ値が上昇してから山崎を入れなくなりましたね。元々『山崎』は別料金を頂いてショットで出していたので、それほど数も出ませんでしたし。入荷が減ってからは、メニューに載せるのをやめました」
このお店より規模の大きな下北沢の別のガールズバーでは、飲み放題とは別の900円で「山崎」を提供していた。しかし一人で切り盛りしているスナックでは「山崎」がないことが多く、置いていても「次はいつ入るかわからない」と常時入荷しているお店は少なかった。
「山崎」の在庫の有無の傾向について、渋谷にある個人経営のバーのマスターがこう語ってくれた。
「3年前ほどに『山崎』の銘柄が全て値上げしたとき、仕入れをやめたんです。うちは小規模ですし、1ショット当たりの価格を上げる気もなかったですから。入荷も難しくなった今、無理して仕入れるお店とそうでないお店の差は、ボトルを入れる客がいるかどうか、客層がステータスを気にするかとか、そういう部分かもしれませんね」
今後も当分は続きそうな「山崎」狂想曲。もし店や酒屋で偶然「山崎」を見つけたら、今まで以上に味わって飲むことを強くお勧めしたい。
<取材・文/行安一真>
最終更新:7/1(土) 16:00
提供:週刊SPA!
山崎、そんなにいいかな?
ブランドとしては、認めるが、ウイスキーの違いにそんなに魅力を感じない自分にとっては、よくわからない。
ビールや焼酎だとよくわかるのだが。
そういえば、ヨードの多いスコッチを進められ、
飲んだのはいいが、傷薬を飲まされたようで、次の朝まで気分悪かった記憶がある。
ブランドで飲むのもいいのかもしれないが、
自分の口に合う酒が一番だ。